先日、「彼との恋愛が最近うまくいってなくて辛い……」と落ち込む女の子に、
「夢中になれる趣味とか探して、もっと自分だけの時間を作って
自立したほうがいいよ!」と別の女の子が熱心にアドバイスをしている光景を
目にしました。最近では、恋愛マニュアル本なども多数出版され、
「恋をうまくいかせるには『自立』した女性であるべし」という考え方が、
恋する女性たちのなかではかなり浸透しているようです。
「女性は恋愛に没頭してしまいがち」という観点から、
そのような訓示がたくさん世に出まわるようになったようですが、
「自立しようと思って、色々趣味や習い事をしてみたが、
どれも大して夢中になれず散在してるだけかも……」という声や、
「彼を頼らないように努めていたら、『僕が居なくても平気そう』
と言われてしまった」なんて声も耳にします。
では、心理学の観点から少し考えてみたいと思います。
まず、男女問わず恋愛中の人には、相手の前で『退行(たいこう)』現象を
起こしがち、というポイントがあります。
大人としての心のヨロイが取れ、ものごとの捉え方や表現の仕方が幼い頃に
戻ってしまう、という現象です。程度は人それぞれですが、
両親への愛情を求めるときのそれのように、
プライドや見栄などのない幼児の状態で恋人に甘える人も、
中にはいるほど。子供のように素直で自然な喜びを感じられる反面、
悲しい出来事が、受け止めきれないほど大きく感じて傷ついたりもします。
「恋愛には『自立』が必要」と言われるのは、
こういった幼い面が過剰に出すぎると、お互いの生活や仕事に影響を及ぼすから、
という理由が考えられます。友人や仕事仲間とは比べものにならないくらい
心身ともに距離が近くなるので、両親や兄弟にするような、
人によってはそれ以上に、子供じみた態度を恋愛相手には見せたりする。
もちろん、たまにであれば、リラックスできる瞬間として良い作用なのですが、
関係を持続していくにあたっては、それぞれがこういった精神状態を
コントロールする必要があります。